
諏訪森大
2026年3月1~7日
先日(2026年3月)、アメリカの酪農地帯であるミネソタ州とウィスコンシン州へ牧場視察に行ってきました! 今回は、弊社の顧客牧場の若手後継者の方にも同行いただき、二人でレンタカーを走らせながら計7件の牧場を巡りました。
3月のウィスコンシン州は厳冬期を過ぎたとはいえ、氷点下と一桁の気温を行き来する厳しい季節です。畑にはところどころ雪が残り、川面は凍結。地面は数十センチも凍りつく「凍土」の状態でした。(帰国した2週間後には、なんと140年ぶりの大雪に見舞われたそうです!間一髪でした)。
視察先の管理形態は、搾乳方法(ロボット搾乳、パラレルパーラー、ロータリーパーラー)も、換気システム(自然換気、トンネル換気、クロスベンチレーション)も多種多様でした。
全農場を通して感じたのは、「基本への忠実さ」です。当たり前の作業を確実にこなす。それが外国人労働者やパートタイマーの方でも高い精度で実行できる「仕組み」が確立されていました。
平均乳量が37~45kgと高く(乳量が高くても乳脂肪率は4.0%以上あります)、繁殖成績も妊娠率20%以上、受胎率40%以上を達成しています。「酪農に王道なし」と言われますが、重要な基本事項を確実に実行し続けることが、この牛群を維持していくことに繋がっているのだと再確認しました。私が知識として持っていることが、現場でいかに実践されているか。それを実際に自分の目で確かめることには、大きな価値があると感じます。
例えば、
・粗飼料分析と栄養設計
・乾物摂取量のモニタリング
・低カルシウム血症予防のための乾乳期DCADコントロール
・哺乳舎の陽圧換気
・ゲノム検査を活用したメイティングと育成牛の選抜
これらは弊社も重要な項目として取り組んでいる内容です。同じ項目なのに、アメリカとの結果の違いはどこから生まれてくるのか。モニタリング精度や、毎日一貫性をもって実行できる仕組みがあるからだと考えます。牧場によって牛舎構造、管理体系は異なります。目指すゴールは同じでも、そこへのプロセスは牧場毎に違います。そこを牧場と共に考え、精度をさらに上げていきたいと強く感じました。
また、後継者の方と一緒に回れたことも私にとって大きな刺激になりました。牛飼いの立場と獣医師の立場では視点が異なります。お互い感じたことを共有しながら、道中の車内で未来を語り合った時間は、とても楽しいものでした。
今回の視察は私にとって3回目の訪米でした。現地の栄養学者やウィスコンシン大学の知人に相談して牧場を紹介してもらい、その後は自分自身で各牧場と連絡を取り合い、視察を取りまとめました。 親身に相談に乗ってくれた知人や、私たちを快く迎えてくれた各牧場の方々には感謝の気持ちでいっぱいです。私のつたない英語でも何が聞きたいのか理解してくれ、たくさんの話をしてくれました。彼らと直接やり取りをしたことで、勝手ながらアメリカに「酪農の仲間」ができたと感じています。 帰国後、現地の大雪のニュースを聞いた時は、彼らの顔が浮かびます。厳しい環境下で頑張っている仲間の存在により、アメリカ酪農がより身近に感じるようになりました。
弊社が開業以来、アメリカ視察を続ける理由は、単に新しい情報を仕入れるためだけではありません。 顧客牧場の課題を解決したい。世界基準の目線を持って、牧場と共に歩んでいきたいからです。アメリカで感じた差を縮めるために何ができるかを現場に還元し、牧場の成績をあげたい。そのための、大切なプロセスだと考えています。