私が獣医師になって初めて勤務したころ、平均乳量はまだ6500kg(/頭/年)位でした。(その後漸増して今は、多い牧場で12000kgまでになってきました。)その後幾度かの厳しい生産調整があり、また農産物自由化の波の中、生産者の牛乳販売価格かどんどん低下し経営が難しくなって来ました。
そして次のような要望が日に日に強くなりました。
酪農が他の産業と比較しても充分に胸をはれる経済状態になりたい。どうしても一頭あたりの乳量を事故なくもっと上げていかなければならない。それと同時に、頭数ももっと増やしたい。そうした中で収入の安定化を図らなければならない。そうしないと後継者もできず酪農は駄目になると。
そうした要求に対して、当時の私は、学校で習った獣医学だけでは、治療はできても、健康で乳量を引き出すすべは全く持ち合わせていませんでした。また乳熱の治療で点滴中、傍らで「どうに飼えば、乳熱にならないですむのかね」の問いに対して、これまでの獣医学では治療するための生理学、病理学、薬理学、内科学、外科学などは学んだけれど、先ほどの酪農家の率直な質問には全く答えられませんでした。この答えは私の学んだ獣医学の中にはありませんでした。それはDairy Science(酪農学、畜産学)のなかにありました。
それからが、この分野の独学の旅が始まったのです。
以下はその遍歴を記します。
1982昭和57年
ジョージア州立大学
Dr.M.E.McCullough「乳牛の栄養の基礎」を研修
1990平成2年
ワシントン州
カーネーション牧場 広瀬慶一先生「生産獣医療」を研修
アラン,ブリテン 乳房炎コントロール
1994平成6年
ウィスコンシン州
Dr. A. P. Johnson 乳房炎防除、生産医療
コーネル大学
Dr. LE.Chase「乳牛栄養学 CNCPS」研修
1995平成7年
コーネル大学
Dr.Bill Stone 乳牛栄養学
ニューヨークDHI粗飼料分析センター、DC305プログラムの講習
ミシガン州立大学
Dr.M.S.Allen 乳牛栄養学
1996平成8年
コーネル大学
Dr.L.E. Chase 乳牛栄養学
ペンシルバニア大学
Dr.Ferguson 乳牛繁殖プログラム、CNCPS
カリフォルニア州立大学
Dr.P.Jardon 乾乳牛マネージメントDCAD
1997平成9年
フロリダ州
栄養コンサルタントDr.Rick Lundquist 暑熱下の牛群管理
バーモント州
栄養コンサルタントDr.B.L.Perkins 乳牛栄養管理、DCAD
1998平成10年
ネブラスカ州立大学
Dr.Rick Grant 乳牛栄養学 副産物の利用
1999平成11年
ミシガン州立大学
大場真人先生、乳牛栄養学 スターチの使い方
Dr.W.G.Bickert 畜舎設計
Dr. Mellenberger バイオセキュリテイー
2000平成12年
コーネル大学
Dr. Bill Stone 生産獣医学 アシドーシス
ウェストバージニア州立大学
Dr.Hoover 炭水化物代謝と人工ルーメン
2001平成13年
アイオワ州
National animal disease center(NADC)
Dr.J.C.Goff 移行期牛の管理(DCAD、栄養、疾病予防法)
木村花子先生 免疫と胎盤停滞
カンサス州立大学
Dr.J.s.Stevenson 繁殖管理 Ovsynch Program
ウィスコンシン州
Dr.A.P Johnson 乳房炎コントロール、牛舎設計
2002平成14年
カリフォルニア州
Valley Agricultural Software Dr.connor Jameson
DC305 牛群管理プログラムの顧客牧場主トレーニングを実施
2003平成15年
コーネル大学
Dr.M.Van.Amburgh 子牛と育成牛の新しい栄養システム
Dr.Victor Cortese(Pfizer) 子牛の免疫
Dr.Overton, 移行期牛のマネージメント
Agway 育成牧場視察(3800頭)
カリフォルニア州
Cargil社の育成牧場視察(15000頭)
2004平成16年
カンサス州立大学
Dr. M.J Brouk , J.P. Harner
暑熱下の乳牛管理、栄養、畜舎構造
Dr. Alberto B. Broce フライ(蝿)コントロール
インディアナ州
Fair Oaks Dairyバーンミーティング
12,000頭(2850×4棟) ロータリーパーラー(72頭)
ウィスコンシン州
J&D Manufacturing社訪問
ベンチレーション、ゴムマット等の理論、設置、現場視察
ミズーリー州
デラバル社 ミルキングシステムとディッピング製剤についてのレクチャー
2005平成17年
ウィスコンシン州
Dr. A. P. Johnson ラクトコーダーの使用方法(乳房炎防除)
Dr .Jill Colloton 超音波診断実技
ウィスコンシン州立大学
Dr.Nigel Cook 新しいフリーストールデザイン
Dr. Gary Oetzel 移行期の代謝障害とその予防治療
及川先生 脂肪肝とインシュリン耐性
ウィスコンシン州
J&D Manufacturing社訪問
ベンチレーション、ゴムマット等の理論、設置、現場視察
2006平成18年
アイオワ州
Trans Ova社 受精卵移植、IVF,クローン
ウィスコンシン州立大学
Dr.Paul M. Fricke 繁殖プログラム、定時授精プログラム
Dr.Kent A. Weigel クロスブリーデイング
2007平成19年5月
ニューヨーク州ホーマー
EZ Acres Dairy(成牛650頭) 視察
カリフォルニア州トラーレ
River Ranch Dairy12000頭 視察
バンビューDairy 2600頭 視察
Valley Agricultural Software Dr.connor Jameson
DC305プログラムの質疑応答
栄養コンサルタントAnne Knappe
バイオエタノールの飼料原料への影響とチャレンジ
2008平成20年9月
コーネル大学
QMPS(高品質牛乳生産サービス)訪問
Dr.Ynte Schukken と Frank Welcomeの搾乳立会実習と講義
コーネル大学
(アニマルサイエンス)
Butler,Ph.D 繁殖と栄養の講義
LR Gehm, LLC社
Copulsationミルカーの理論
ミネソタ大学
K.A.Janni コンポストバーンの講義と牧場視察
2010平成22年4月
(荒木)
ウィスコンシン州立大学
乳房炎コントロール(予防と治療) Pamela L.Ruegg DVM
蹄病コントロール Arturo Gomez,DVM
炭水化物の代謝 Mary Beth Hall
ニューヨーク州シラキュース
AMTS栄養プログラム講習 T.P. Tylutki
2012平成24年
ウィスコンシン州
Central Sands Dairy(3300頭搾乳)を視察
Larson Acres Dairy(2400頭)を視察 クロスベンチレーションシステムと陽圧換気システム
Larson Acres クロスベンチレーションシステムと子牛陽圧管理システム
Prairieland Dairy(1100頭)を視察 クロスベンチレーションシステム
Kellercrest Registeered Horsteinsを視察。子牛陽圧換気システムと育成牛舎
ウィスコンシン大学
Dr. Kenneth Noldlund
子牛陽圧換気システム
TCI(移行期インデックス)
Dr. Nigel Cook
蹄病コントロール
牛舎レイアウト
ニューヨーク州
AMTS CEO, Dr.T.P.Tylutki PhD
育成牛のターゲットグロースシステム
2013平成25年
イリノイ大学
Dr.James Drackley 子牛セミナー
Dr.James Drackley 成牛の脂質代謝
バージニアテック
Dr.Bob James 子牛(初乳、免疫、乳腺)
2015平成27年
コーネル大学
Summer Dairy Institute 参加 (諏訪 美咲)
2016平成28年
ウィスコンシン大学
Wisconsin Dairyland Initiative Workshop 参加 (諏訪 美咲)
牧場観察
2017平成29年
ニューヨーク州
Cornell Nutrition Conference (Syracuse NY)
Dairy Cattle Reproductive Online Course 2017 (PRODAIRY) 修了
2018平成30年
カルフォルニア大学
Veterinary Medicine Teaching & Research Center (諏訪 森大)
Dairy Cattle Reproductive Online Course 2018 (PRODAIRY) 修了
Transition Cow Management Online Course 2018 (PRODAIRY) 修了
2019令和元年
カルフォルニア州
VAS(Valley Agricultural Software)社、World Wide Sires社
ウィスコンシン州
ABS global社、ウィスコンシン大学・
Dairyland Initiativeワークショップ(2日間)(諏訪森大)
Calf and Heifer Management Online Course 2019 (PRODAIRY) 修了
Forage Management Online Course 2019 (PRODAIRY) 修了
2020令和2年
Transition Cow Management Online Course 2020 (PRODAIRY) 修了
Milk Quality Online Course 2020 (PRODAIRY) 修了
Cornell Virtual Advanced Dairy Nutrition Shortcourse 参加
Minnesota Dairy Health Conference Webinar Series 参加
2021令和3年
Dairy Cattle Reproductive Online Course 2021 (PRODAIRY) 修了
Basic Dairy Nutrition Online Course 2021 (PRODAIRY) 修了
New NRC(NASEM2021) Preview Balchem Real Science
Cornell Nutrition Conference 2021 virtual attendance
ウィスコンシン大学
Dairyland Initiative Virtual Workshop, AMS Facility Design / PPTV Design for Calf Barns
2022令和4年
コーネル大学
Implementing Genomic Webinar(PRODAIRY)
ミズーリ大学
Reproduction Webinar
ミシガン州立大学
Using Data to Manage Mastitis Webinar
2023令和5年
コーネル大学
Technology Tuesdays Webinar Series
ウィスコンシン大学
Dairyland Initiative Virtual Workshop, Ventilating Adult Cow Facilities / PPTV Design for Calf Barns
ウィスコンシン州
ウィスコンシン大学 遺伝学講義 Dr. F. Penagaricano
移行期牛管理講義 Dr. G. Oetzel
Sunshine OPUラボ視察
牧場視察
Zoetis社 ゲノム検査についてのプレゼンテーション
ミネソタ州
ミネソタ大学 ProCROSS講義 Dr. L. Hansen
牧場視察